システム製作

2025/09/16 作成
2026/03/06 変更

Gaudi II 現在のレビジョン: Rev.2.3 (2025年5月)
プリアンプを PA-210 Simplicity から CC-218 Diversity に変更しました。
CC-218 はとのちが初めて製作した半導体プリアンプです。管球プリ PA-210 で問題となっていたマイクロフォニック・ノイズから解放され、一段と高解像度の音質となりました。
Gaudi II の過去レビジョンについては、こちらをご覧ください。

構成

前レビジョン(Rev.2.2)からの主な変更点は、プリアンプとウーファー・アンプを替えたことです。アンプの変更に伴って、コンポーネント配置も変更しました。

プリアンプ: PA-210 Simplicity ⇒ CC-218 Diversity
ウーファー・アンプ: フライングモール DAD-M100pro ⇒ TEAC AP-505

プリアンプを替えたことにより、音質が大きく向上しました。PA-210 で問題となっていたマイクロフォニック・ノイズが、想定以上に音質に悪影響を及ぼしていたことがよく分かりました。

聴感上の音質が明らかに変化したので、システムレベルの測定データも変化したことが予測されたため、システムレベル・チューニングのやり直しを決定しました。

システム設計とはプリアンプとチャンデバのゲインが異なるため、新たにレベル・ダイアグラムを作成しました。

System configuration of Gaudi Rev.2.3 Level diagram of Gaudi Rev.2.3
システム構成図 レベル・ダイアグラム

各コンポーネントの紹介



配置

Component layout of Gaudi Rev.2.3

コンポーネント配置は右図の通りです(クリックすると拡大されます)。

プリアンプが PA-210 から CC-218 に替わりました。
MCヘッドアンプ HA-213 が不要になったので、撤去しました。
ウーファーアンプが DAD-M100pro から TEAC AP-505 に替わりました。
TVラック J-8010 内の配置を変えました。
図中に描かれている DAD-M100pro と Panasonic DMP-BD88 は Gaudi Rev.2.3 のメンバーではありません。

システム全体の配置は下図の通りです。前レビジョン Rev2.2 と同じなので、Rev.2.2 の図を掲載しています。。

System layout of Gaudi Rev.2.2 - top view System layout of Gaudi Rev.2.2 - side view
Gaudi Rev.2.3 -- Replaying analog disc Gaudi Rev.2.3 -- TV rack

 


接続

使用ケーブルは下表のとおりです。

出力機器 入力機器 参照番号
(製品型番)
線材
(製品型番)
長さ 出力側コネクター
(製品型番)
入力側コネクター
(製品型番)
備考
ADP
(SL-1200GR)
Preamp
(CC-218: PHONO)
  低容量
1芯シールド線
1.5m RCAプラグ RCAプラグ SL-1200GRに付属のケーブル
アース線を一緒に束ねて使用
ステレオ・ペア
DAC
(UD-301:
LINE OUT)
Preamp
(CC-218: DAC)
CB18
(カナレ RC018)
CB1
1芯シールド線
4芯シールド線
1.8m
1.5m
RCAプラグ
(カナレ F-10)
RCAプラグ
(カナレ F-10)
不平衡型
ステレオ・ペア
[2026/01/05 変更]
Preamp
(CC-218:
EQ OUT)
DAR
(MR-2000S:
LINE IN)
CB2 4芯シールド線
(カナレ L-4E6S)
2m RCAプラグ
(カナレ F-10)
RCAプラグ
(カナレ F-10)
不平衡型
ステレオ・ペア
DAR
(MR-2000S:
LINE OUT)
Preamp
(CC-218: AUX)
CB3
(カナレ RC018)
1芯シールド線
(カナレ GS-6)
1.8m RCAプラグ
(カナレ F-10)
RCAプラグ
(カナレ F-10)
平衡型
ステレオ・ペア
接続せず
Preamp
(CC-218:
PRE OUT)
Network
(VENU360:
Analog In)
CB5
(カナレ RC03-B2)
4芯シールド線
(カナレ L-4E6S)
3m RCAプラグ
(カナレ F-10)
XLRプラグ
(Neutrik NC-MXX)
COLDーGND接続
不平衡型
ステレオ・ペア
Network
(VENU360:
HIGH OUT)
Bal/Unbal
(CleanBox:
BAL IN)
CB6
(カナレ EC01-B)
4芯シールド線
(カナレ L-4E6S)
1m XLRジャック XLRプラグ 平衡型
ステレオ・ペア
Bal/Unbal
(CleanBox:
UNBAL OUT)
Tweeter amp
(MA-208: IN)
CB16
(カナレ RC018)
1芯シールド線 1.8m RCAプラグ RCAプラグ 不平衡型
ステレオ・ペア
Network
(VENU360:
MID OUT)
Bal/Unbal
(CleanBox:
BAL IN)
CB7
(カナレ EC01-B)
4芯シールド線
(カナレ L-4E6S)
1m XLRジャック XLRプラグ 平衡型ステレオ・ペア
Bal/Unbal
(CleanBox:
UNBAL OUT)
Squawker amp
(MA-215: IN)
CB17
(カナレ RC018)
1芯シールド線
1.8m RCAプラグ RCAプラグ 不平衡型
ステレオ・ペア
Network
(VENU360:
LOW OUT)
Woofer amp
(AP-505:
BAL IN)
CB8,9
(カナレ EC015-B)
2芯シールド線 1.5m XLRジャック XLRプラグ 平衡型
モノラル x2
Tweeter amp (MA-208: OUT) Tweeter
(T925A)
  AWG20 x 4芯 OFC
(カナレ 4S6G)
2.7m Y型圧着端子 φ3.5mm (Nichifu TMEX 1.25Y-3.5) Y型圧着端子 φ8mm (RS Pro 613-9485)  
Squawker amp
(MA-215: OUT)
Squawker
(ED3402+H4401)
  AWG20 x 4芯 OFC
(カナレ 4S6G)
2.7m Y型圧着端子 φ8mm (RS Pro 613-9485) ハンダ付け  
Woofer amp
(AP-505: OUT)
Woofer
(FW305)
  AWG20 x 4芯 OFC
(カナレ 4S6G)
2.4m 端子無し Y型圧着端子 φ8mm (RS Pro 613-9485) ケーブル長はアンプの端子からウーファーの端子までの長さ

赤字は前レビジョンから変更されたケーブル
ラインケーブルの詳細については、以下をご覧ください。
[ラインケーブル設計書(LineCable_Design.pdf)]

ウーファー・アンプ AP-505 は平衡型入力を備えているので、それを利用します。ケーブルを XLR→RCA のものから XLR→XLR のもの(CB8,CB9)に替えました。

ラインケーブルに関して、一つ発見がありました。[2025/09/27]
4芯シールド線(L-4E6S)を用いたラインケーブル(CB1、CB2)は、理論的には通常の1芯シールド線よりも性能が良いはずです。しかし、聴感上の音質は必ずしも4芯が良いとは限らないことを経験しました。

CC-218 をシステムに組み込むときに、DAC とプリアンプを繋ぐケーブルを、誤ってCB1ではなく1芯シールド線にしてしまいました。数か月後にそのミスに気付いてCB1に替えたところ、音質が落ちたように感じました。確かに音像は CB1の方がくっきりしていて、定位が安定しているのですが、妙にとげとげしい音に聞こえました。再び1芯シールド線に戻したところ、良好な音質に戻りました。

まるで1芯シールド線の方が4芯シールド線より優れているかのような結果に戸惑いました。そこで、もう1本の4芯シールド線 CB2 も1芯シールド線と比較することにしました。CB2 はプリアンプの EQ OUTと DAR の LINE IN を接続するケーブルです。比較用に CB3 を用いました。
今度はわずかながら CB2 の方が 優れているという結果になりました。CB2の方がピアノやブラスの音がより輝いて聞こえます。CB3を使うと、ほんの少し雑音が加わるように感じられます。全体的に CB2の方がクリアに聞こえます。
比較試聴した時の楽曲は全てDSD 5.6M で録音しました。その録音を mp3 320k にダウン・コンバートしたファイルを以下にリンクします。それぞれ LPレコードのA面あるいはB面の最初の曲を一部抜粋しています。

クラシック、ピアノ独奏: V. Ashkenazy, Liszt Recital, London KIJC-9206, 1970/1997, リイシュー盤 (キング・スーパー・アナログ・シリーズ)
4芯(CB2): CB2_Liszt_Excerpt.mp3
1芯(CB3): CB3_Liszt_Excerpt.mp3
クラシック、オーケストラ: Z. Mehta / LAPO, G. Holst; The Planets suite, Decca SXL-6529, 1971, オリジナル盤
4芯(CB2): CB2_Holst_Excerpt.mp3
1芯(CB3): CB3_Holst_Excerpt.mp3
ジャズ: Count Basie, Basie Jam, Pablo APJ-022, 1973/1997, リイシュー盤 (Analogue Productions)
4芯(CB2): CB2_Basie_Excerpt.mp3
1芯(CB3): CB3_Basie_Excerpt.mp3
ボサノバ、ピアノと女性ボーカル: Eden Atwood, Waves - The Bossa Nova Sessions, Groove Note GRV1012-1, 2010, 45rpm
4芯(CB2): CB2_Eden_Excerpt.mp3
1芯(CB3): CB3_Eden_Excerpt.mp3
フュージョン、ブラスとパーカッション: Ted Sommer, Percussive Mariachi, Solid State SS-18012, 1967, オリジナル盤
4芯(CB2): CB2_Sommer_Excerpt.mp3
1芯(CB3): CB3_Sommer_Excerpt.mp3
ブルーグラス、男性コーラス: Larry McNeely, Confederation, Sheffield Lab LAB-9, 1978, ダイレクト・ディスク
4芯(CB2): CB2_McNeely_Excerpt.mp3
1芯(CB3): CB3_McNeely_Excerpt.mp3

CB1の音質が今一つに感じられるのは、ケーブル自体の性能が1芯シールド線に劣る訳ではなく、システム内に問題があるためだと解釈します。
スコーカーの ED3402+H4401 の性能が低く、それを補うためにチャンデバに高次のフィルターを用いています。スコーカーの過渡特性が良くない上にチャンデバの過渡特性も高次フィルターにより悪化しているため、かえって1芯シールド線の少しぼやけたような音質がスコーカーの欠点を覆い隠しているのだと思います。
[2026/01/05 更新] {その後タイムアライメント調整を行ったり、位相チェックを行ったりした結果、やはり4芯シールド線の方が良いという結論になりました。また ED3402+H4401 の性能は悪いとは言えないと思います。Rev.2.2 での RS52FN との比較で、ED3402+H4401の方が若干劣っているように見えましたが、これはRS52FN がエージング不足だったことが原因だったようです。エージング不足ゆえにリンギングが生じにくくなっていて、過渡特性が優れているように見えていました。今は両者とも過渡特性は同等です。周波数特性では RS52FN が勝りますが、ED3402+H4401も、帯域を絞り、ミッドハイとして使えばむしろ RS52FN より優秀です}


AC電源

右図にAC電源接続を示します(クリックすると拡大されます)。

Mains connection of Gaudi R2.3

従来全てのコンポーネントの FG を大地アースから浮かせていましたが、本レビジョンからプリアンプ(CC-218)のみ大地アースに接続することにしました。この方がほんの少し残留雑音を減らせることが判明したためです。



調整(システムレベル・チューニング)

プリアンプを置き換えたことが想定以上に音質に影響を与えたので、下記の手順で調整をやり直しました。

  • 1. 疑似無響室測定による周波数特性の測定、および各帯域のゲイン調整とイコライザーによる補正
  • 2. 正弦波1波を使った波形観測
  • 3. 聴取位置に測定用マイクを置いた周波数特性と波形の測定
  • 4. 音楽を再生し、聴感により音質を確認

結果として、VENU360 のフィルターの特性(カットオフ周波数、減衰特性)は変更しませんでした。
前レビジョン(Rev.2.2)で入念に調整したので、変更する必要がありませんでした。試しにクロスオーバー周波数を変えたり、フィルタータイプを全てLR12 にしたりしましたが、かえって音質低下を招きました。
LOW のゲインは、ウーファー・アンプを変更したため(DAD-M100pro → AP-505)、調整し直しました。
前レビジョンでは PEQ は未使用でしたが、今回使用することにしました。部屋の形状が左右対称でないため、低音の特性が左右非対称となっていたからです。

VENU360 の設定は、最終的に以下のようになりました。この設定で、スコーカー(ED3402+H4401)の欠点を上手く隠すことができます。
VENU360 の低音域、中音域、高音域の出力を、それぞれ LOW、MID、HIGHと略記しています。チャンネルを明示したい場合は、LOW-L、MID-Rのように表記します。⇒ 下記の設定は変更しました。最終設定は、後述の 2026/02/04 の追記をご覧ください。

  • 構成: ステレオ3ウェイ
  • クロスオーバー周波数: fc1=900Hz, fc2=6.3kHz
  • フィルター・タイプ:fc1: LR24 (4次 Linkwitz-Riley, 24dB/oct), fc2: BW18(3次 Butterworth, 18dB/oct)
  • 入力ゲイン: L-ch: -1.4dB, R-ch: 0dB
  • 出力ゲイン: HIGH: +5.3dB, MID: +1.1dB, LOW: +2.7dB
  • リミッター: オフ
  • 極性: HIGH: 正相、MID: 正相、LOW: 正相
  • 位相: 0度
  • ディレイ: LOW-L: 0.06msec, LOW-R: 0.06msec
  • GEQ: オフ
  • PEQ: L-ch: low shelf 100Hz, +4.0dB, slope=4.2, R-ch: low shelf 49.6Hz, +6.0dB, slope=5.0
  • サブソニック・フィルター: 18Hz(LR12)
  • 入力クリップレベル: +28dBu (=19.5V)
  • 出力クリップレベル: +8dBu (=1.95V)
  • その他: デフォルト値

前レビジョンではスピーカー(SS-309B)のウーファー・ボックスを密閉型にしてましたが、バスレフ型に戻しました。スピーカーのせいにしていた音質劣化が実はプリアンプのマイクロフォニック・ノイズによるものだと判明したためです。

スピーカーに関しては、ウーファー・ボックスをバスレフ型に戻したこと以外は変更していないので、タイムアライメント調整は行いませんでした。
[2025/12/09 更新] {これは大きな間違いです。ウーファー・アンプを変更しているので、タイムアライメント調整は必要です。リニアアンプの遅延時間は機種間の差は小さいですが、D級アンプの場合は機種間の差が大きいので、タイミングが変わります。タイムアライメント調整を行いました}

 

測定データ

補足資料「その2 - 測定方法」に示す方法で測定を行いました。
疑似無響室測定においては、ニアフィールド測定時のウーファーとマイクの間隔は、d=13mm、境界周波数は、fm=460Hz、インパルス応答のウィンドウ幅は -2.0~+2.21msec に設定しました。

疑似無響室測定による周波数特性
LOW (900Hz以下)のレベルが高目で、フラットではないのですが、聴取位置でフラットになるように調整した結果です。

Frequency response -- quasi-anechoic -- L-ch Frequency response -- quasi-anechoic -- R-ch
周波数特性(疑似無響室測定) -- L-ch
低域が増強されているように見えるが、これでも聴取位置ではフラットになる
周波数特性(疑似無響室測定) -- R-ch
左チャンネルとほぼ同じ

聴取位置における周波数特性
スピーカーから出てくる音の周波数特性はフラットではありませんが、聴取位置では下図のように、ほぼフラットになります。

Frequency response at listening position -- L-ch Frequency response at listening position -- R-ch
周波数特性(聴取位置) -- L-ch
フラットに近い。
低域でかなり凸凹があるのは、左側スピーカーの横にオーディオ・ラックがあるのが原因と考えている。


周波数特性(聴取位置) -- R-ch
左チャンネルよりさらに平坦である
左チャンネルにも見られるが、120Hz付近のディップが気になる
定在波の影響か?


Frequency response at listening position -- Each band -- L-ch Frequency response at listening position -- Each band -- R-ch
帯域ごとの周波数特性(聴取位置) -- L-ch
各帯域を個別に測定したデータを重ね合わせた
帯域ごとの周波数特性(聴取位置) -- R-ch
各帯域を個別に測定したデータを重ね合わせた

低音は全方位に拡散するのに対し、高音は指向性が狭く拡散しないので、聴取位置では低域(LOW)のレベルは高域(MID、HIGH)とほぼ同じになります。

波形データ
波形データは数が多いので、特に興味深いデータを抜粋して掲載します。

Sine wave response -- 900Hz -- L-ch Sine wave response -- 6.3kHz -- L-ch
波形データ(聴取位置) -- L-ch
HIGH:on, MID:on, LOW:on
900Hz(=fc1) 正弦波


波形データ(聴取位置) -- L-ch
HIGH:on, MID:on, LOW:on
6.3kHz(=fc2) 正弦波


Sine wave response -- 6.3kHz -- L-ch -- Slower sweep 1-cycle sine wave response -- 900Hz -- R-ch
波形データ(聴取位置) -- L-ch
HIGH:on, MID:on, LOW:on
6.3kHz (=fc2) 正弦波
掃引速度を落として観測。ビブラートがかかっているのが分かる。


波形データ(聴取位置) -- R-ch
HIGH:on, MID:on, LOW:on
900Hz (=fc1) 正弦波1波
リンギングらしき波形が見られる。ただし、床からの1次反射が含まれるので、判別が難しい。
Sine wave response -- 900Hz -- R-ch -- LOW only Sine wave response -- 900Hz -- R-ch -- MID only
波形データ(聴取位置) -- R-ch
HIGH:off, MID:off, LOW:on
900Hz (=fc1) 正弦波1波
LOWのみだと、わりとまともな波形となる。
波形データ(聴取位置) -- R-ch
HIGH:off, MID:on, LOW:off
900Hz (=fc1) 正弦波1波
Y軸を5倍に拡大
低い周波数(低調波)と高い周波数(高調波)が混じっている。

連続する正弦波の場合は、クロスポイントにおいてもきれいな波形が観測されます。
パルスに近い1周期だけの正弦波は、あまりきれいな波形になりません。現行スピーカー(SS-309B)ではこの辺が限界だろうと思います。

[2026/02/01 追記] {前レビジョンと同様に、ドーム・スコーカーの評価を行いました} ------------------------------------------------------------+
近年、ホーン型よりもダイレクト・ラジエターの方が音質に優れると考えるようになりました。前レビジョン(Rev.2.2)の時に、実際にドーム・スコーカー、Dayton Audio RS52FN を試してみました。その時は、わずかの差でホーン型(ED3402+H4401)の方が良いという結論に達しました。
しかし、RS52FN のエージングが充分出なかったことと、チャンデバの設定が RS52FN の実力を引き出すものではなかったことが考えられるので、もう一度 RS52FN を評価することにしました。今回は20時間以上鳴らし込んだのちに評価を行いました。
前レビジョンと同様に、ホーン・スコーカーを用いた場合のレビジョン番号を Rev.2.3a (R2.3a)、ドームの場合を Rev.2.3b (R2.3b) と表します。

ドーム・スコーカーはホーンより受け持ち帯域を広くできるので、fc1 をやや低くし、800Hz としました。フィルターの次数を下げ、fc1、fc2 共に LR12 (2次 Linkwitz-Riley、12dB/oct)にしました。
期待に反して、この設定では全然音質が良くありません。そこで音楽を再生しながらフィルター特性を変えて見たところ、次数が高いほど音質が上がることが分かりました。結局 fc1、fc2 共に LR48 としました。
音質の変化については [試聴] で詳述します。

以下に LR48 に変更したのちの特性を記載します。なお、左右チャンネルの特性に大きな違いはないので、右チャンネルのデータのみを示します。

R2.3b の周波数特性

Frequency response -- quasi-anechoic -- R-ch Frequency response -- listening position -- R-ch
周波数特性(疑似無響室測定) -- R-ch
38Hz のディップはバスレフ・ダクトの共振によるもの。ダクトはオリジナルより短い 36mm長にした。ダクトから出る音波はこの測定方法では検知されない
周波数特性(聴取位置) -- R-ch
120Hz のディップは左右の壁間の定在波によるもの。聴取位置が定在波の節に位置している

R2.3b の過渡特性(波形データ)

Transient respose -- w/o filter, 800Hz, R-ch Transient respose -- LR12, 6.3kHz, R-ch
過渡特性、800Hz、1サイクル、チャンデバのフィルターオフ -- R-ch
リンギングが発生している。かなりの量に見えるが、直接音の3msec遅れで床からの1次反射が、されに遅れて壁や天井からの1次反射が来るので、実際のリンギングはそれ程ではない。Rev.2.2 の時は、ホーン・スコーカーより過渡特性が良いと評価したが、単にエージング不足で振動系の動きが鈍かっただけのようだ。実際にはホーンと大して変わらないか、むしろ少し劣っている
過渡特性、6.3kHz、1サイクル、LR12 -- R-ch
こちらはチャンデバのフィルターを LR12 にした時の波形。なかなか優秀。ホーンと遜色ない

+-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------+

[2026/02/04 追記] {R2.3a のフィルターも LR48 に変更しました} -------------------------------------------------------------------------------+
R2.3b で、より急峻な減衰特性のフィルターが音質上好ましいということが分かりましたので、R2.3a でも LR48 を使ってみました。
ホーン・スコーカーでも LR48 の方が良いことが分かりました。R2.2a でカット・アンド・トライを繰り返して最良のセッティングを求めたはずでしたが、最良ではないことが分かりました。プリアンプのクオリティが低かったために、それを補うために変則的なセッティングをしていました。その変則的セッティングが、今はむしろ音質を低めていることに気づきました。
以下に最終的な設定を示します。

  • 構成: ステレオ3ウェイ
  • クロスオーバー周波数: fc1=900Hz, fc2=6.3kHz
  • フィルター・タイプ:fc1: LR48 (8次 Linkwitz-Riley, 48dB/oct), fc2: LR48(8次 Linkwitz-Riley, 48dB/oct)
  • 入力ゲイン: L-ch: -3.6dB, R-ch: 0dB
  • 出力ゲイン: HIGH: +5.3dB, MID: +1.1dB, LOW: +2.7dB
  • リミッター: オフ
  • 極性: HIGH: 逆相、MID: 正相、LOW: 正相
  • 位相: 0度
  • ディレイ: LOW-L: 0.08msec, LOW-R: 0.10msec
  • GEQ: オフ
  • PEQ: 全てオフ
  • サブソニック・フィルター: 18Hz(LR12)
  • 入力クリップレベル: +28dBu (=19.5V)
  • 出力クリップレベル: +8dBu (=1.95V)
  • その他: デフォルト値

左側入力ゲインが低いのは、左側の壁からの1次反射のせいで音像が左へ引っ張られるからです。中央に定位すべき音像が中央に定位するようにするために、このような設定となりました。
低音が改善されたので、PEQ で低音を増強することはやめました。
DAC→プリアンプの接続ケーブルを、CB1(4芯シールド線)に変更しました。理屈通り、4芯シールド線の方が音質が良いことを確認できました。

Gaudi R2.3a final setting -- Quasi anechoic frequency response Gaudi R2.3a final setting -- Quasi anechoic frequency response w/ normal HIGH
周波数特性(疑似無響室測定) -- R-ch
R2.3b に比べれば、まだ少し凹凸のある特性だが、それでも随分フラットに近づいた。HIGH は逆相にしている。38Hz のディップはダクトの共振によるもの


周波数特性(疑似無響室測定)、HIGH:正相 -- R-ch
HIGH を正相にした時の特性。fc2(=6.3kHz)にディップが発生する。Linkwitz-Riley フィルターを用いているので、本来は全ての帯域の位相は等しいはずであるが、それはあくまでチャンデバ出力のことで、スピーカー出力は位相がずれることがある


Gaudi R2.3a final setting -- frequency response at listening position Gaudi R2.3a final setting -- frequency response of each band
周波数特性(聴取位置) -- R-ch
疑似無響室測定で現れた 38Hz のディップは解消したが、音圧は十分ではない。リアダクト方式なので、バスレフ効果は限定的である。120Hz のディップは部屋の定在波によるもの
帯域ごとの周波数特性 -- R-ch
あたかも fc1=1.2kHz であるかのような特性になっている。スコーカーの特性上 1.1kHz に深いディップがあるため、このような結果になった

+-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------+

試聴

いつものように 2xHD「Audiophile Speaker Set-up」というアルバムを用いて音質をチェックしました。フォーマットは DSD5.6M(DSD128)です。それに加えて、耳にタコができるほど聴きなれているアナログ盤を使用しました。

[2026/02/01 追記] {前レビジョンと同様に、ドーム・スコーカーの評価を行いました} ------------------------------------------------------------+
最初は、ドーム・スコーカーの利点を生かすべく、フィルターを LR12、fc1 を800Hzにして試聴しました。期待に反して、全然音質が良くありません。聴き慣れた R2.3a の音に比べると、もやがかかったような冴えない音です。
試しに、音楽を再生しながら VENU360 を操作して、フィルター特性を変えてみました。すると、フィルターの次数を上げるにつれて音がクリアになることが分かりました。
最も高次の LR48 に落ち着きました。R2.3a に近い音質になったと感じました。
ところが、カミさんに聴かせると、明らかに R2.3a の方が良いと言うのです。カミさんは私にとって最も手ごわい批評家です。私よりも耳が良いので、R2.3a の方が良いのは確かだろうと思いました。
R2.3a に戻すことに決定しました。
+-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------+

[2026/02/04 追記] {比較試聴の結果、ホーン・スコーカーを採用することにしました} ------------------------------------------------------------+
上述のように、ホーン・スコーカーを用いる Rev.2.3a に戻しました。
LR48 のフィルターを用いることで、よりクリアな音質になりましたあ。それに加えて、低音の印象が大きく変わりました。今まで 30cm ウーファーを使っている割には低音が物足りないと感じていましたが、それが解消され、バランスが取れた印象となりました。ジャズのベース演奏が、歯切れ良さを保ったまま量感も豊かになりました。PEQ で低音を増強する必要がないため、無効にしました。そのことがさらに音の透明性を高めました。
+-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------+


音響

Rev.2.03から変更していません。一部を除いて、Gaudi 時代に実施した対策を流用しています。


自己評価

プリアンプを半導体アンプに替えたことで、意外なほど音質が向上しました。前レビジョンでも Gaudi 史上最高の音質と感じましたが、今回はさらなるの音質向上を達成しました。
特に音場再現性が向上したので、クラシックのオーケストラの音が俄然魅力的になりました。

プリアンプ(CC-218)にリモコン機能を持たせたことと、コンポーネント配置の変更で、使い勝手は大幅に向上しました。

音質

プリアンプを PA-210 から CC-218 に替えて、最初に音出しをした時の第一印象は、随分解像度が上がったなというものでした。
音像がシャープになり、定位が安定しました。

以前このホームページの中で、私は「ピンポイントの定位は求めない」と書きましたが、これは撤回します。音像定位が正確で安定していると、聴いていて実に心地よいものだと知りました。最近はむしろ音場再現性が音質評価をする上での最重要チェックポイントになっています。裏腹に、音色のちょっとした違いには大らかになりました。

結構良いプリアンプだと思っていた PA-210 が、実はだめアンプだということが分かりました。
管球プリである PA-210 はマイクロフォニック・ノイズを拾っていました。実際、ヘッドホンで聴き比べると、CC-218 にそれ程劣っている訳ではありません。スピーカーから音を出すと、明らかな差が出ます。
真空管アンプは特性では半導体アンプに劣るが音質は良い、という意見をよく聞きます。ここで言う「特性」とは電気的特性を指すと思われますが、それはちょっと違うと思います。電気的特性はオーディオ・アンプにとって十分なレベルだと思います。真空管が劣るのは、電気的特性ではなく、機構的特性です。つまり振動に弱く、マイクロフォニック・ノイズを拾うということです。
PA-210 の製作時にはマイクロフォニック・ノイズに悩まされました。色々対策をして OK としたのですが、やはり NG でしたね。

前レビジョンでは、スピーカー SS-309B のスコーカー(ED3402+H4401)に「ホーン臭」を感じていましたが、それは感じなくなりました。
今までスピーカーや部屋の音響のせいで音質が上がらないと思っていたことが、実はプリアンプのせいだったということが分かりました。今は、高音域がクリアできれいに聞こえます。カミさんや数人の友人からも「高音が滅茶苦茶きれい」という評価をもらっています。
ただ、スコーカーに問題がないわけではありません。とにかく忠実度が低いユニットです。システムレベル・チューニングで欠点が露呈しないようにしました。
弦楽器・管楽器が奏でる連続音は確かにすごく美しいと感じますが、よく聞くとピアノや打楽器が出す打撃音は今一つキレがないようにも感じます。ホーンスピーカーはダイレクト・ラジエターより過渡特性が悪いので(これは私見です。私の誤解かもしれません)、そのように聞こえると理解しています。

ウーファー・アンプをフライングモール DAD-M100pro から TEAC AP-505 に替えたことで、ウーファーから出る雑音が聴感上皆無となりました。このことも好印象に繋がっています。

前レビジョンで、チャンデバ VENU360 の解像度の低さのせいで音場に奥行き感がないと断じました。それは今でも感じることですが、以前ほど深刻にとらえていません。いま最も問題と感じているのはウーファーです。もっと現代的なSPユニットを使いたいです。ただし、低音の特性は部屋の影響を強く受けますが、まだルーム・チューニングを充分に行っていません。先ずはルーム・チューニングをしっかり行うことを優先しようと思います。

プリアンプ CC-218 と スピーカー SS-309B のページもご覧ください。
CC-218 の評価
SS-309B

[2026/03/01 追記] {高次フィルターの効用についての考察} --------------------------------------------------------------------------------------+
チャンデバのフィルターの次数を増やすと過渡特性が悪くなるので、2次ぐらいの方が良いと思い込んでいました。また、あるオーディオのプロの方が、マルチアンプ・システムであっても、1次、あるいは2次フィルターの方が良いと書いているのをどこかで読みました(ネット上で見つけた記事でしたが、情報の出所を失念しました)。このことが思い込みを強化しました。
前述のように、試しにフィルターの次数を上げたところ、次数が高いほど音質が良いことが分かりました。その方がスピーカーで発生する歪を抑えられるからだと解釈しています。電子回路で発生する歪とスピーカーで発生する歪とでは、後者の方が桁違いに大きいので、スピーカーの歪を抑えることを優先した方が良い結果が得られるということです。

低域の設定を何も変えていないのに、低音の質が大幅に向上しました。今までは低音が少し軽薄な感じでした。ジャズのコンボの演奏を聴くと、ベースの音が引っ込んで聞こえました。LR48 の採用によって、もっと重量感のある感じになり、量感も増し、他の楽器とのバランスも良くなりました。
こういった変化は過去にも何度か経験しています。低音楽器の音は低域の特性ばかりでなく、その倍音成分を含む中高域の特性にも影響されます。倍音成分が正確に再現されないと、重量感が出ず、いわゆる「重低音」になりません。

マルチウェー・スピーカーで最も歪を発生しやすいのがクロスオーバー領域です。各SPユニットは、その受け持ち帯域内では低歪ですが、その外側では歪が大きくなります。クロスオーバー領域では、歪んだ音波同士が重なり合うので、歪が増大します。
理論的には、高次フィルターを用いて極力クロスオーバー領域を狭くするのが良いと考えられます。しかし、前述のように低次フィルターの方が良いという意見があり、そちらの方が定説になっているようです。
理論通りでない定説は、恐らく経験則に由来しています。多くの人が成功したやり方が定説になります。しかし、潜在的問題を見逃していたら、成功体験も実はベストな結果ではなく、ベターなだけの可能性があります。

Gaudi II では、チューニングは測定器を用いて精密に行っています。そのことが、理論通り高次フィルターの方が高音質という結果になっているのかもしれません。特にタイムアライメント調整の精密さは影響度が高いと思います。

Crossover -- LR12 Crossover -- LR48
LR12(12dB/oct)のクロスオーバー
水色と黄土色で塗りつぶした部分がクロスオーバー領域
ウーファーとツィーターのクロスオーバー領域も存在する
LR48(48dB/oct)のクロスオーバー
水色と黄土色で塗りつぶした部分がクロスオーバー領域
LR12に比べ、かなり狭い面積になっている
この方が音質が良いのは当たり前だと思うのだが、、、

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外観

CC-218 はオーディオ・ラック AR-416 にフィットするようにデザインした(つもりな)ので、実際そのようになったと思います。
CC-218 はMC型専用フォノEQを内蔵しているので、MCヘッドアンプ HA-213 は不要になりました。HA-213 を撤去したので、オーディオ・ラック(AR-416)がスッキリしました。
一方TVラックの方はゴチャついた印象です。今後もっとスッキリさせようと思います。

ウーファー・アンプ(TEAC AP-505)は新品で購入したので、色はシルバーとブラックから選択できました。ブラックを選べば他のコンポーネントと同色で調和したのに、何故かシルバーを選んでしまいました。カタログ写真を見たときにシルバーがすごくかっこ良く見えたので、つい選んでしまいました。AP-505 がちょっと目立つ存在になっています。

Gaudi Rev.2.3 -- Audio rack AR-416
AR-416 の外観
プリアンプが PA-210 から CC-218 に変更、HA-213 を撤去
スッキリした


Gaudi Rev.2.3 -- TV rack J8010
TVラック上で目立つ AP-505
全体的にゴチャついている。ケーブル類は見えないようにしたい。

使い勝手

プリアンプ CC-218 の操作仕様は完全に私好みになっているため、操作性に関しては文句のつけようがありません。
CC-218 の仕様… こちら
CC-218 の評価… こちら

プリアンプの電源もパワー・ディストリビューターから得るようにしたため、アンプ類の電源はすべてパワー・ディストリビューター TASCAM AV-P250S のスイッチでオン・オフできるようになりました。

 

その他

CC-218 に4チャンネル・ステレオ機能があるため、時々4チャンネル・レコードを楽しんでいます。今所有しているのは4枚だけですが、中古品を見つけたら買い増そうと思います。
リア・スピーカーにはセカンド・システム Kinglet 用の SS-312A を、パワーアンプには ELEGIANT (中国製の安いアンプ)を使います。
完璧な4チャンネルではなく、言わば4チャンネルもどきなのですが、一定の効果はあります。後ろに定位すべき音像が、確かに後から聞こえてきます。なかなか楽しいです。

Gaudi Rev.2.3 -- 4-ch stereo configuration Gaudi Rev.2.3 -- Rear speakers
4-ch レコード再生時
リアスピーカーに SS-312A、リアアンプに ELEGIANT を使用
SS-312A と ELEGIANT

 


まとめ

管球プリのマイクロフォニック・ノイズがシステムレベルの音質を低下させるということは分かっていましたが、その影響度を過小評価していました。プリアンプを半導体アンプに替えただけで、音質が大幅に向上したのは想定外でした。
今までスピーカーのせい、チャンデバのせいと決めつけていた音質劣化要因が、実はプリアンプのせいだったとわかり愕然としました。オーディオを半世紀以上やっていても、まだまだ分かってないことがあると痛感しています。

なんにしても、音質は上がり、使い勝手も大幅に向上し、良かったと思います。ただ、まだ最高音質になったわけではないので、新しいスピーカーの設計とルーム・チューニングを急ぎたいと思います。